セラミックの歯は、天然歯の色調や質感、透明感などを忠実に再現できるため、歯の修復・補綴材料として適しています。保険でも白い材料であるレジンを使用することはできますが、両方を見比べてみるとセラミックが優れているのは明らかです。そのため最近ではインレー(詰め物)やクラウン(被せ物)の素材としてセラミックを選ぶ人が増えているのですが、値段が気になるようです。歯医者のセラミック治療というと高い料金が設定されているイメージが強いのでしょう。ここではそんなセラミック歯の値段相場について、素材や装置の種類別に東京セラミック審美歯科クリニックが詳しく解説をします。

セラミックの値段について

セラミックの値段について

まずはセラミックの値段相場に触れる前に、まずはこの材料の特徴や高いといわれる理由、人気が高まっている理由などについて考えてみましょう。

そもそもセラミックとは

セラミックとは、いわゆる陶器です。皆さんのキッチンにはいろいろな食器があるかと思いますが、その中にはセラミック製のお皿やマグカップなどが含まれていることでしょう。とくに白いお皿があれば、それとほぼ同じものが歯科治療でも使われていると考えてください。もちろん、歯医者の治療で使うセラミックは、歯科用に改良されたもので、厳密には異なる部分が多々ありますが、広義には同じものといえます。歯科においては、銀族でもない、プラスチックでもない材料は、ほとんどがセラミックに分類されます。セラミックの具体的な種類については、後段で解説します。

セラミックが高いといわれる理由

冒頭でも述べたように、「セラミックは高い」というイメージを持っている人が多いです。実際、食器においてもプラスチック製のお皿よりセラミック製のお皿の方が値段は高くなるため、歯に対して同じイメージを持っても何ら不思議ではありません。それを詰め物・被せ物治療に置き換えた場合もセラミックの値段の方が高くなります。

その理由としては、第一に原材料費の違いが挙げられます。歯科用プラスチックであるレジンは、原材料費が比較的安価であるのに対し、セラミックは高価です。また、セラミックで詰め物・被せ物を作る時には、特別な製法が必要となることが多く、製作費にも高い費用がかかるといえます。

さらには、セラミックを使った詰め物・被せ物治療には、基本的に保険が適用されません。セラミック治療は原則として自費診療となるため、患者さんが窓口で支払う医療費も自ずと高くなります。こうした理由から、セラミックは高いといわれたり、そのイメージを持った人が多かったりするのです。

保険が適用されるセラミックがある?

上述したように、歯医者の治療で使うセラミックには、基本的に保険が適用されません。虫歯治療のあとにセラミックインレーやセラミッククラウンなどを選択した時点で、自費診療となるのです。ただ、最近では「保険で作れる白い歯」というものが評判になっており、保険でもセラミックが使えるようになったと思っている方も多いようです。

確かに、保険でも白い歯を入れることは可能です。しかもそれは従来のレジンではなく、よりセラミックに近い材料が保険適用されるようになったため、「保険でもセラミックが使える」と誤解する人が増えたとしても決して不思議なことではないのです。けれども実際に保険診療で作れる白い歯は、自費診療のセラミック歯とは別物なので、その点が誤解のないように注意しましょう。

具体的には、CAD/CAM冠(キャドキャムカン)やPEEK冠(ピークカン)といった白い歯が、保険でも使えるようになっています。どちらもプラスチックとセラミックの中間的な性質を持った材料で、純粋なセラミックよりも審美性や機能性、耐久性などの面で優れています。そのため保険診療で奥歯に白い歯を入れたい場合などにはおすすめできます。それでも自費診療で使えるセラミックとは別物といっても過言ではないことから、前歯の治療や人工歯に高い審美性を求める人にはあまりおすすめできません。ですから、セラミックを始めとした白い歯を入れる場合は、ドクターにしっかり相談した上で決めることが重要といえます。

セラミックが人気なのはなぜ?

銀歯やレジン歯などは値段が安いというメリットはあるものの、デメリットが目立つようになったため、セラミックの人気が高まってきているのが現状です。例えば、銀歯には金属アレルギーを発症するリスクや歯茎が黒ずむメタルタトゥーになる可能性があります。金属色がむき出しという点においても、セラミックに劣っているといえます。

歯科用プラスチックのレジンなら、安くて見た目もそれなりに良くできるというメリットがありますが、変色や摩耗などが起こりやすく、虫歯の再発リスクもセラミックより高いです。そもそも同じ白色でも、光沢や透明度という観点ではレジンがセラミックに大きく劣るため、値段以外の部分に着目して、詰め物や被せ物の素材を選択する人が増えてきているのです。

セラミックインレー(詰め物)の値段・費用相場

セラミックインレー(詰め物)の値段・費用相場

次に、皆さんも気になっているセラミックの値段・費用相場について解説します。まずは詰め物にあたるセラミックインレーの値段・費用相場からです。

セラミックインレー

費用相場:40,000~90,000円程度

セラミックインレーは、最も標準的なセラミックの詰め物です。具体的には、ポーセレンやe-maxのインレーを指します。見た目が極めて美しく、高い審美性を求める人には強くおすすめできます。そんなセラミックインレーの費用相場は、40,000~90,000円程度となっています。比較的小さい修復物である詰め物でも、セラミックを使うとこれくらいの値段になるのです。

ジルコニアインレー

費用相場:40,000~70,000円程度

ジルコニアインレーは、人工ダイヤモンドとも呼ばれるジルコニアで作られた詰め物です。酸化ジルコニウムから構成される素材で、金属に匹敵する硬さを備えていることから、噛む力が強い人や歯ぎしり・食いしばりの習慣がある人でも、問題なく使えます。ジルコニアはとても丈夫な素材ではあるものの、ポーセレンやe-maxといったオールセラミックと比較すると、透明感に劣るため、奥歯の治療に適した材料といえます。費用相場も40,000~70,000円程度で、セラミックインレーより少し安くなっています。

メタルインレー(保険診療)

費用相場:3,000~4,000円程度

ここで参考程度に、保険診療で作ることができるメタルインレーについても触れておきましょう。メタルインレーはいわゆる銀歯の詰め物です。保険が適用されるため、3割負担の費用相場は3,000~4,000円程度となっています。繰り返しになりますが、メタルインレーには金属アレルギーやメタルタトゥーのリスクがある、見た目が良くない、虫歯の再発リスクが高いなどのデメリットを伴うことから、臨床の現場でも使用する機会がどんどん減っていっています。

セラミッククラウン(被せ物)の値段・費用相場

セラミッククラウン(被せ物)の値段・費用相場

続いては、セラミック製の被せ物であるセラミッククラウンの値段・費用相場について解説します。

オールセラミッククラウン

費用相場:100,000~150,000円程度

オールセラミッククラウンも基本はセラミックインレーと同じです。ポーセレンやe-maxといった標準的なセラミックを使って、被せ物を作ります。被せ物の場合は、詰め物よりも装置が大きく、使用する材料も多いことから、オールセラミッククラウンの費用相場は、100,000~150,000円程度となっています。一般的にはセラミックの歯の中で値段が一番高くなるのがオールセラミッククラウンであるといえます。 。

ジルコニアクラウン

費用相場:50,000~150,000円程度

ジルコニアで作った被せ物です。これも基本はジルコニアインレーと大きな違いはありません。とくに大きな力がかかりやすい奥歯に適応するのが望ましい被せ物といえます。そんなジルコニアクラウンの全国的な値段は50,000~150,000円程度となっています。オールセラミッククラウンの料金よりも少し安く設定されているのが特徴です。

メタルボンド

費用相場:70,000~130,000円程度

メタルボンドは、金属製の歯の表面だけセラミックで覆った被せ物です。強度と審美性の高さを両立できる被せ物ですが、金属アレルギーやメタルタトゥーのリスクは伴います。また、セラミックの部分で金属色が目立ったり、盛り付けたセラミックが剥がれたりするリスクもあるため、オールセラミッククラウンやジルコニアクラウンほど優れた被せ物ではないといえます。メタルボンドの全国的な費用相場は、70,000~130,000円程度です。

CAD/CAM冠(保険診療)

費用相場:8,000~9,000円程度

CAD/CAM冠は、保険診療で作れる白い被せ物です。歯科用プラスチックとセラミックを混合したハイブリッドレジンを使って、被せ物を作ります。CAD/CAM冠に用いる素材をハイブリッドセラミックと表現することもありますが、材料に占める割合はレジンの方が多いことから、歯科用プラスチックという認識を持った方が正確といえます。そんなCAD/CAM冠は保険診療の3割負担で8,000~9,000円程度の費用がかかります。自費診療のセラミックと比較すると、値段がかなり安いです。

レジン前装冠(保険診療)

費用相場:8,000円程度
金属製の歯の表面だけをレジン
で覆った被せ物です。メタルボンドと構造は似ていますが、保険診療の場合はセラミックではなくレジンで歯の表面を覆うことになります。レジンは経年的な変色や摩耗が起こりやすい点に注意が必要です。そんなレジン前装冠の費用相場は、3割負担で8,000円程度となっています。

セラミック治療の費用を安くする方法

セラミック治療の費用を安くする方法

ここまでの説明で、セラミックの歯の値段・費用相場については、ある程度ご理解いただけたかと思います。やはり、保険診療のプラスチックと比較すると、セラミックは値段が高いため、なかなか手を出せないという方もいらっしゃることでしょう。そんな方は、次のような方法を実践してみてください。もしかしたらセラミック治療にかかる費用や経済的負担を減らせるかもしれません。

【方法1】値段の安いセラミック材料を選択する

上述したように、セラミックの値段・費用相場は、セラミック材料の種類によって大きく異なります。歯科材料の中で最も美しいといわれているオールセラミックはどうしても値段が高くなりますが、ジルコニアやメタルボンド、もしくは保険のハイブリッドセラミックを選択することで、セラミック治療でかかる費用を安く抑えられます。

【方法2】医療費控除を利用する

セラミック治療にかかった費用は、基本的に医療費控除の対象となります。自費診療のセラミック歯なら、それ1本の費用だけでも医療費控除の条件を満たすことがほとんどなので、セラミック治療を受けた人はこの制度を積極的に利用することをおすすめします。医療費控除を利用すれば、所得税の控除が受けられます。

【方法3】値段を安く設定しているクリニックを探す

セラミックの詰め物・被せ物は自費診療となることから、料金設定は歯科クリニックで自由に決められます。歯科クリニックによっては、その他のクリニックより安い値段でセラミック治療を行っているところもありますので、支払う医療費をできるだけ減らしたいというか方は、医院選びに力を入れましょう。

信頼できるクリニックを選ぶポイント

信頼できるクリニックを選ぶポイント

セラミック治療で得られる結果は、クリニックによって大きく変わります。そのためセラミック治療を検討中の方は、信頼できる歯科クリニックを見つけることが大切です。セラミック治療で最善といえる結果を得たい、セラミック治療で後悔したくないという方は、歯科クリニック選びの際に以下の5つのポイントに着目すると良いでしょう。


【ポイント1】ドクターの診療実績・経験

担当するドクターの技術、実績、経験は、セラミック治療の結果を大きく左右します。当然ですが経験の浅いドクターではなく、セラミック治療の診療実績豊富なドクターを探すようにしてください。


【ポイント2】セラミック治療の値段・料金設定

セラミック治療の値段・料金設定が適正であるかは事前に確認しましょう。セラミック治療の値段が全国的な相場よりも極端に安かったり、極端に高かったりする場合は注意が必要です。


【ポイント3】セラミック治療の選択肢が多い

いろいろなセラミック治療に対応している歯科クリニックなら、患者さんのニーズにもしっかり応えられます。


【ポイント4】説明が丁寧でわかりやすい

セラミック治療は、単純に虫歯を治す治療とは異なります。患者さんの美意識や価値観をきちんと理解し、説明を丁寧にわかりやすく行ってくれる歯科医師でなければ、治療結果に満足できないかもしれません。


【ポイント5】院内の設備が充実している

精密な審美治療を実施するためには、それ相応の機器や器具が必要となります。そうした院内の設備が充実している点もセラミック治療で失敗・後悔しないためのポイントといえます。


セラミックは高い値段に見合った治療なのか?

セラミックは高い値段に見合った治療なのか?

今回は、歯科治療で使用するセラミックの値段について解説しました。小さな詰め物・被せ物がひとつで100,000円前後することに驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、保険診療の銀歯やレジン歯との違いを考えると「セラミックの値段は高すぎる」とは思えないことでしょう。

セラミックという素材は、小児歯科の分野では使う機会がそれほど頻繁にはありませんが、一般歯科ではいろいろな場面で活用されています。今回のテーマとなっている詰め物・被せ物だけでなく、入れ歯やインプラント、ブリッジでもセラミックは使われているのです。それはセラミックが人工歯や人工歯根に使う材料として適しているからです。寿命が長い、虫歯の再発リスクが低い、審美性が高い、汚れが付着しにくい、経年的な劣化が起こりにくい。これほど多くの利点がある材料はセラミック以外に見当たらないことから、値段が多少、高くてもそれに見合ったメリットが得られるという点においてリーズナブルと言えるでしょう。

虫歯や詰め物・被せ物を装着する必要性が出てきたり、歯周病で歯を丸ごと失ったりした場合も、おそらくほとんどの歯科医師はレジンや銀歯ではなく、セラミックを選びます。それはセラミックが優れていることを誰よりも歯科医師が知っているからなのです。


セラミックの値段に関するよくある質問

セラミックの値段に関するよくある質問

Q.セラミックの人工歯は1本いくらしますか?

A.1本あたり50,000~150,000円くらいで治療できます。セラミックの種類によって値段は大きく変わるため、一概に語ることは難しいですが、このくらいの値段の幅を考えておくと、治療の検討もしやすいかと思います。

Q.セラミック治療を保険で受けることはできますか?

A.基本的には保険適用外となります。オールセラミックやジルコニアセラミック、メタルボンドといった代表的なセラミック治療は、自費診療でなければ受けられません。CAD/CAM冠やPEEK冠などは、ハイブリッドセラミックもしくはハイブリッドレジンという特殊な素材を使用するため、保険診療でも治療可能です。

Q.セラミック歯の値段が高いのはなぜですか?

A.セラミックの原材料費が高く、製作にもそれなりのコストがかかるからです。また、セラミック治療には原則として保険が適用されないため、窓口で支払う医療費の額が10割となる点も、セラミックの値段が高くなる原因のひとつといえます。

Q.セラミックとレジンはどっちがおすすめですか?

A.審美性や機能性、耐久性の高さを求める人にはセラミックがおすすめです。詰め物・被せ物の治療で経済性を重視する人には、レジンがおすすめといえます。

Q.値段が高いセラミックと安いセラミックの違いは何ですか?

A.セラミックの種類の違いです。オールセラミックやジルコニアセラミックは値段が高いですが、ハイブリッドセラミックはプラスチックが多く含まれているため、値段が安くなります。

Q.セラミック治療はどのクリニックで受けても同じですか?

A.クリニックによって治療結果が変わります。セラミック治療の実績豊富な歯科医師が在籍しているクリニックなら、そうではないクリニックよりも良い結果が期待できます。それはドクターの技術や知識、センスによって、セラミック治療の仕上がりが左右されるからです。

Q.セラミックで矯正することはできますか?

A.軽度の歯並びの乱れなら改善できることがあります。例えば、捻転している歯に適切な形のセラミッククラウンを被せることで、正常に生えているように見せられます。これを一般的にはセラミック矯正と呼んでいます。歯を実際に動かす矯正歯科の治療とは、根本的に異なる処置なので、その点は誤解のないようにしましょう。

Q.セラミック治療は痛いですか?

A.治療する時は麻酔が効いているので痛みを感じることはありません。麻酔が切れた後に、軽い痛みが生じる場合がありますが、2~3日で落ち着ていきます。

Q.セラミックはホワイトニングできますか?

A.できません。ホワイトニングで白くなるのは、神経の生きている天然歯です。セラミックで作った詰め物・被せ物は、オフィスホワイトニングもホームホワイトニングも歯が白くなる効果は期待できませんので、その点はご注意ください。