「セラミック矯正」という言葉を耳にしたことはありますか? 美しい歯並びと白い歯を短期間で手に入れたいと考える多くの方に選ばれている治療法です。 しかし、その手軽さや美しさの裏には、知っておくべきメリットとデメリットが隠されています。
この記事では、セラミック矯正の基本的な知識から、他の矯正方法との違い、そして何よりも気になる
デメリットについて、専門的な視点から詳しく解説します。 治療を検討されている方が、後悔のない選択をするための参考にしてください。
セラミック矯正の基本知識

セラミック矯正とは何か
セラミック矯正とは、
自分の歯を削ってセラミックの被せ物(クラウン)を装着することで、歯の色や形、歯並びを整える治療法です。 歯を動かす従来のワイヤー矯正やマウスピース矯正とは異なり、歯そのものの形を変えることで歯並びを改善します。 主に、前歯の隙間や軽度の歯並びの乱れなど、部分的なお悩みをスピーディーに解決したい場合に適しています。

セラミック矯正の治療方法
セラミック矯正の治療は、いくつかのステップを経て進められます。
①カウンセリング・診察:患者様の希望や歯の状態を確認し、治療計画を立てます。
②歯の形成(削る):歯並びを整えるために、歯の表面を少し削ります。
③仮歯の装着:歯型を採取し、セラミッククラウンが完成するまでの間、仮歯を装着します。
④セラミッククラウンの装着:完成したセラミッククラウンを歯に装着し、噛み合わせなどを最終調整します。
⑤メンテナンス:治療完了後も、定期的なメンテナンスを行い、美しい状態を維持します。
セラミック矯正のメリット
セラミック矯正には、見た目の美しさや治療期間の短縮など、多くのメリットがあります。

見た目の改善
セラミックは天然の歯に非常に近い透明感と色合いを持っているため、自然で美しい口元を実現できます。
また、ホワイトニングでは改善できない歯の変色や、神経を抜いた歯の黒ずみなども、セラミッククラウンで白く明るくすることができます。

治療期間の短縮
従来のワイヤー矯正が1〜3年ほどの期間を要するのに対し、セラミック矯正は
数週間から数ヶ月という短期間で治療が完了することが大きな魅力です。
忙しい方や、結婚式などのイベントを控えている方に特に適しています。

金属アレルギーの心配がない
セラミックは陶器の一種であるため、金属を一切使用しません。
そのため、金属アレルギーの心配がなく、安心して治療を受けることができます。
セラミック矯正のデメリットとリスク
セラミック矯正は多くのメリットがある一方で、いくつか注意すべきデメリットやリスクも存在します。
これらを事前に理解しておくことが、後悔しないための鍵となります。

健康な歯を削るリスク
セラミック矯正の最大のデメリットは、
健康な歯を削る必要があることです。
歯を削ることで、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
・神経への影響:歯を削る量が多すぎると、歯の神経に近くなり、しみたり、痛みを感じたりすることがあります。
場合によっては神経を抜く(抜髄)処置が必要になることもあります。
・歯の強度の低下:削った歯は、元の健康な歯に比べて強度が低下します。
・後戻り:噛み合わせを考慮せずに治療を行うと、治療後に歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が生じる可能性があります。

虫歯や歯周病のリスク
セラミッククラウンと歯の境目に隙間があると、そこに汚れが溜まりやすく、 虫歯や歯周病のリスクが高まります。 治療後の適切なケアが非常に重要です。

高額な治療費用
セラミック矯正は 保険適用外の自由診療となるため、治療費用が高額になりがちです。 費用の相場はクリニックや治療する歯の本数によって異なりますが、一本あたり数万円から数十万円かかることも珍しくありません。

破損の可能性
セラミックは非常に丈夫な素材ですが、強い衝撃や噛みしめによって 割れたり欠けたりする可能性があります。 破損した場合は、再治療や修理が必要になり、追加の費用がかかることがあります。
セラミック矯正と他の矯正方法の比較
セラミック矯正は歯を削る治療法であるため、従来のワイヤー矯正やマウスピース矯正とは根本的に目的が異なります。
・ワイヤー矯正・マウスピース矯正:歯の根元から時間をかけてゆっくりと動かし、歯並びそのものを根本的に改善する治療法です。
・セラミック矯正:歯を削り、被せ物で見た目を改善する治療法です。
歯並びの乱れが軽度で、短期間で見た目を改善したい場合はセラミック矯正が適していますが、噛み合わせの改善や、歯並びを根本から治したい場合は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正の方が適していると言えます。
治療後のメンテナンスと注意点
セラミック矯正は、治療が完了すれば終わりではありません。 美しい口元を長く保つために、定期的なメンテナンスと日々の適切なケアが欠かせません。
・定期健診:セラミッククラウンの状態や、歯茎の健康状態を専門の歯科医師に定期的にチェックしてもらうことが重要です。
・日々のケア:ブラッシングやフロス、歯間ブラシなどを使い、歯とセラミックの境目を中心に丁寧に清掃することが、虫歯や歯周病を予防するために大切です。
・食事の注意:硬い食べ物を噛んだり、歯ぎしりをしたりすると、セラミッククラウンが破損するリスクがあります。
セラミック矯正が向いている人
これらのメリット・デメリットを踏まえると、セラミック矯正は以下のような方におすすめです。
・短期間で歯並びを整えたい人:結婚式などのイベントを控えている方や、矯正に長い時間をかけたくない方。
・見た目を重視する人:歯の色や形、前歯の隙間など、見た目のお悩みをすぐに解決したい方。
・金属アレルギーが心配な人:口内に金属を入れることに抵抗がある方。
・軽度の歯並びの乱れを治したい人:全体の噛み合わせには問題がなく、前歯の軽微な乱れだけを治したい方。