
「PMTC(プロによる歯のクリーニング)を受けてみたいけれど、具体的にどんなことをするの?」
「痛かったり、時間がかかったりしないか心配……」
歯医者さんでの専門的なケアに興味はあるものの、何をされるか分からない不安から、予約をためらっていませんか?
PMTCは、普段の歯磨きでは落としきれない汚れを徹底的に除去する、**痛みの少ない「歯のエステ」**のような施術です。しかし、実は「保険診療」か「自費診療」かによって、そのフロー(手順)や使用できる器具には大きな違いがあることをご存知でしょうか。
この記事では、歯科衛生士が行うPMTCの具体的なフローを7つのステップに分けて詳しく解説します。
施術にかかる正確な所要時間
施術中の痛みや感覚
施術直後の食事の注意点
これらを事前に知っておくことで、リラックスして施術を受けられるようになります。ぜひ最後まで目を通し、ツルツルの歯を手に入れるための参考にしてください。

PMTCとは?通常の歯磨きや歯石取りとの決定的な違い
PMTCとは「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の略で、日本語では「歯科医師や歯科衛生士による専用機器を用いた歯の清掃」を指します。
まず理解しておきたいのは、PMTCは虫歯や歯周病を治すための「治療」ではなく、お口の健康と美しさを守るための「予防・ケア」であるという点です。
PMTC=「プロによる機械的な歯の清掃」
毎日の歯磨きは非常に大切ですが、どんなに丁寧に磨いても、歯ブラシが届かない隙間やポケットには汚れが残ってしまいます。PMTCでは、回転ブラシやゴム製のカップ、専用のジェット噴射器などを使い分け、セルフケアでは不可能なレベルで歯面を清掃・研磨します。
自分で行う歯磨きでは落とせない「バイオフィルム」とは
なぜプロのケアが必要なのでしょうか? その最大の理由は「バイオフィルム」の除去にあります。
バイオフィルムとは、細菌が結びついて作った「ぬめりのある膜」のことです。キッチンの排水溝につくヌルヌル汚れと同じような性質を持っており、一度形成されると強力に歯に付着します。このバイオフィルムは、うがいや通常の歯ブラシでは破壊・除去することができません。
PMTCは、このバイオフィルムを物理的に破壊し、細菌の温床をリセットできる唯一の方法なのです。
【完全版】PMTCの施術フロー|7つのステップを詳細解説

ここからは、実際に歯科医院で行われるPMTCの標準的な流れを、順を追って解説します。
※医院の設備やプランによって一部手順が異なる場合があります。
STEP1:口腔内チェック・カウンセリング
いきなりクリーニングを始めるのではなく、まずはお口の状態を確認します。歯石の付着状況、歯肉の腫れや出血の有無などをチェックし、その日の施術内容を決定します。気になることや痛みへの不安があれば、この時点で伝えておきましょう。
STEP2:プラークの染め出し
磨き残し(プラーク)を赤く染め出す薬剤を使用します。「どこが磨けていないか」が視覚的にハッキリ分かるため、ご自身の歯磨きの癖を知る良い機会になります。
※希望されない場合は省略可能なこともありますが、精度の高いクリーニングのためには実施が推奨されます。
STEP3:スケーリング(硬い歯石の除去)
歯石(プラークが石灰化して硬くなったもの)が付着している場合は、スケーリングで除去します。
超音波スケーラー: 超音波の微細な振動と水流で、固まった歯石を砕いて弾き飛ばします。「キーン」という音と水が出るのが特徴です。
ハンドスケーラー: 細かい部分や歯茎の中の歯石は、手用の器具で丁寧に除去します。
STEP4:エアフロー・ジェットクリーニング
ここからがPMTCならではの工程です。
微細なパウダー粒子を強力なジェット水流で歯に吹き付け、こびりついた着色汚れ(ステイン)やタバコのヤニ、バイオフィルムを一気に吹き飛ばします。
施術中の感覚: 細かい粒子が当たる「シャー」という感覚があります。使用するパウダーによっては、少し塩っぱい味がしたり、甘い香りがしたりすることがあります。痛みはほとんどありませんが、知覚過敏の方は水流で少ししみる場合があります。
STEP5:研磨(専用機器とペーストでのポリッシング)
歯の表面をツルツルに磨き上げる工程です。
柔らかいゴム製のカップやブラシを回転させ、専用の研磨ペーストを使って歯面をポリッシングします。
施術中の感覚: 電動歯ブラシのような振動を感じます。研磨剤は粒子の粗いものから細かいものへと段階的に使い分け、最終的には舌で触ると驚くほど滑らかな状態になります。フレーバー(味)を選べる医院もあります。
STEP6:洗浄・フッ素塗布
お口の中をきれいに洗い流した後、高濃度のフッ素を塗布します。
PMTC直後の歯は、汚れがない「すっぴん」の状態です。このタイミングでフッ素を塗ることで、通常時よりも効率よく歯質に取り込まれ、歯を強くし、虫歯を予防する効果が高まります。
STEP7:ホームケアのアドバイス
最後に、きれいになった状態を維持するためのブラッシング指導や、患者さんのお口に合った歯ブラシ・歯磨き粉の提案を行います。
PMTCの所要時間はどれくらい?

PMTCの施術時間は、一般的に30分から60分程度です。
美容院に行くような感覚で、ゆったりと施術を受けることができます。
初回: カウンセリングや検査(レントゲン撮影など)が含まれる場合があるため、60分〜90分ほど見ておくと安心です。
2回目以降: お口の状態が把握できており、定期的なメンテナンスであれば30分〜45分程度で終わることも多くなります。
ただし、歯石の量が多い場合や、着色がひどい場合は、丁寧な処置が必要なため時間が長くなる傾向があります。
PMTCは痛い?施術中の「感覚」と不安への回答

「歯医者=痛い」というイメージをお持ちの方も多いですが、PMTCはどうでしょうか。
基本的に、PMTCに痛みはありません。
ガリガリと削る治療とは異なり、ブラシやゴムカップでマッサージされるような感覚に近いため、施術中に眠ってしまう方もいるほどです。心地よいクリーニングとして、「歯のエステ」感覚で受けられます。
ただし、以下のようなケースでは刺激を感じることがあります。
知覚過敏がある方: 冷たい水や風、エアフローの刺激で「キーン」としみることがあります。
歯茎が腫れている方: 炎症がある部分に器具が触れると、チクッとした痛みや出血を伴うことがあります。
もし痛みを感じた場合は、すぐに手を挙げて合図をしてください。水温の調整や、パワーの調整、手技の変更などで柔軟に対応してもらえます。通常、麻酔を使用することはありません。
【重要】PMTCのフローは「保険」か「自費」かで異なる

保険診療のクリーニングの限界
保険診療の目的はあくまで「歯周病という病気の治療」です。そのため、国のルールにより以下のような制約があります。
手順の制限: 検査を行い、病名がつかないとクリーニングができません。
内容の制限: 歯石除去(スケーリング)がメインです。見た目をきれいにするための着色汚れ(ステイン)の除去は、保険適用外となることが一般的です。
回数: 歯石が多い場合やルール上の制約で、数回に分けて通院しなければならないことがあります。
一方、自費診療のPMTCは「予防と審美」が目的です。
内容: 着色汚れの徹底除去(エアフローなど)、高品質な研磨剤の使用、リラクゼーション効果のある丁寧なケアなど、制限なくフルコースで行えます。
回数: 基本的に1回の通院で完了します。
施術の効果を長持ちさせるために|PMTC直後の注意点

せっかく歯をきれいにしたのですから、その効果をできるだけ長く保ちたいものです。施術直後にはいくつかの注意点があります。
施術後30分〜1時間は飲食を控える理由
PMTC直後の歯は、歯の表面を覆っていた「ペリクル」というタンパク質の保護膜が一時的に剥がれた状態になっています。 この状態は、フッ素などの良い成分を取り込みやすい反面、色素も吸収しやすい状態です。ペリクルが再生するまでの30分〜1時間程度は、飲食(特にお水以外のもの)を控えるのが理想的です。
着色しやすい食べ物・飲み物リスト
施術当日は、特に以下の「色の濃いもの」を避けるようにしましょう。
飲み物: コーヒー、紅茶、赤ワイン、ウーロン茶、コーラ
食べ物: カレー、ミートソース、チョコレート、キムチ、醤油やソースを多く使う料理
その他: タバコ、口紅(歯に付かないように注意)
まとめ:PMTCのフローを理解して、ワンランク上のオーラルケアを

PMTCは、普段の歯磨きでは届かない汚れをリセットし、虫歯や歯周病のリスクを下げながら、本来の白い歯を取り戻すことができる効果的なケアです。
PMTCは痛みも少なく、リラックスして受けられる「歯のエステ」。
基本的なフローは「染め出し→歯石除去→着色除去(エアフロー)→研磨→フッ素塗布」。
所要時間は30〜60分程度。
「着色を落としたい」「1回で終わらせたい」なら自費診療のPMTCがおすすめ。
「自分の歯はどのくらい汚れているんだろう?」「自分には保険と自費、どっちが合っているの?」
そう思われた方は、まずは歯科医院でのカウンセリングを受けてみることをおすすめします。プロの手によるツルツルの爽快感を、ぜひ一度体験してみてください。