削らないで歯をきれいにできるラミネートベニアの治療法を歯科医が解説
歯の黄ばみが気になるけれどホワイトニングでは改善できない。歯の形や大きさを修正したいけれどセラミックの被せ物治療を受けるのは少し抵抗がある。そんな時におすすめできるのが「ラミネートベニア」と呼ばれる歯科の治療法です。
ラミネートベニアは、歯を大きく削らないで色や形、ちょっとした歯並びの乱れを改善できる歯科治療です。ここではそんなラミネートベニアの特徴やメリット・デメリット、どんな人におすすめなのかを御徒町の東京セラミック審美歯科クリニックがわかりやすく解説します。
ラミネートベニアってどんな治療法?削らないとは?
最初に、ラミネートベニアの基本事項を説明します。
◎ラミネートベニアとは?
ラミネートベニアとは、つけ爪のような形をした薄いセラミック製のシェル(=チップ)を歯の表面に貼り付ける治療法です。当然ですが漂白剤を塗布して歯を白くする「ホワイトニング」とは根本的に異なる方法で、修復治療や補綴治療に分類される術式といえます。そうなると白い被せ物を装着する「セラミック治療」と同じように感じられますが、ラミネートベニアにはいくつか特色があるため、セラミッククラウンを被せる方法とは区別して考えた方が良いと言えます。
◎「削らない」とはどういうこと?
ラミネートベニアの特色としては「削らない」点がよく取りあげられます。冒頭でも述べたように、ラミネートベニアでも歯をまったく削らないわけではなく、“大きく削らない”といった正確です。具体的には、歯の表側のエナメル質を0.3~0.5mm程度削ります。歯の裏側に関しては一切手をつけません。これは歯の全周にわたって大きく削るセラミッククラウンの治療とは大きく異なる点です。まさにつけ爪のような感覚でセラミック製の人工歯を装着できるのがラミネートベニアなのです。
◎ラミネートベニアはどの部位に使える?
審美歯科診療で実施するラミネートベニアは、基本的に前歯の治療で使用します。前歯は高い審美性が求められる部位であり、ラミネートベニアのような美しいセラミックを用いた装置が重宝します。そこでセラミックと同じ白色材料のレジンを使うという選択肢もありますが、ラミネートベニアとは色や質感、光沢などが大きくことなるため、強くおすすめすることはできません。もちろん、経済面に重きを置くのであれば、歯科用プラスチックの方が適していますが、前歯の審美性の高さを追求するのであれば、ラミネートベニアを始めとしたセラミック製の装置が推奨されます。
ラミネートベニアのメリット・デメリット
ラミネートベニアは、ホワイトニングとも標準的なセラミック治療とも異なる施術法なので、メリットやデメリットにも特色がみて取れます。ラミネートベニアで審美治療を検討中の方は、以下に挙げるメリットとデメリットについても正しく理解しておきましょう。
【ラミネートベニアのメリット】
◎歯を大きく削らない
ラミネートベニアの最大のメリットは、歯を大きく削らないで済む点です。私たちの歯を構成するエナメル質・象牙質は、再生することがありません。治療で削れば削るほど、歯が小さくなるとともに、その寿命も縮まっていくのです。とくにセラミック製の被せ物を装着する場合は、歯を削る量が多くなり、神経の処置も必要となりやすいです。歯を大きく削らないラミネートベニアであれば、その心配はありません。
また、エナメル質を削る量も微々たるものなので、施術後に虫歯リスクが高くなったり、知覚過敏の症状で長期的に悩まされたりすることもまずないでしょう。これは患者さまの心身にとって何にも代えがたいメリットといえます。
◎重度の歯の着色・変色も改善できる
ホワイトニングは、歯の黄ばみや黒ずみを簡便に改善できる審美治療ですが、重度の症状には効果が認められません。例えば、エナメル質の形成不全や薬剤による影響(テトラサイクリン歯)、歯の神経が死んだことによって起こる歯質の変色は、ホワイトニングできれいに改善することは困難なのです。そこで有用なのが歯を大きく削らないで重度の変色・着色を改善できるラミネートベニアです。ラミネートベニアは、前歯の歯の変色への治療法として広く活用されており、見られることが仕事である芸能人にも人気のある施術法となっています。
◎歯並びの乱れを改善できる
ラミネートベニアは、いわゆる矯正歯科治療ではありませんが、歯並びの乱れを改善することも可能です。ラミネートベニアが歯並びの治療で用いられるケースとしては、「すきっ歯」が最も多いです。とりわけ上の前歯の真ん中に不自然なすき間がある「正中離開(せいちゅうりかい)」は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正(インビザライン)で歯を動かさなくても、ラミネートベニアで改善できることが多いのです。前歯にすき間を覆うような形のラミネートベニアを装着することで、歯の色だけではなく、前歯の歯並びまできれいにできます。
◎理想的な歯の形や大きさに仕上げられる
口元の審美性への関心が高い方は、歯の色や歯並びに加え、歯の形や大きさにまでこだわります。矯正治療ではそこまでの改善は見込めませんが、ラミネートベニアなら比較的簡単に歯の形や大きさまで理想に近づけることができるのです。しかもエナメル質を大きく削らないので、歯にかかる負担を最小限に抑えられます。生まれた時から歯の形がいびつなケースも、ラミネートベニアなら簡便に改善できます。
◎歯の美しさが長持ちする
ラミネートベニアのシェルは、とても薄くて小さな装置ではあるものの、れっきとしたセラミックであり、経年的な劣化が起こりにくくなっています。治療後のケアを適切に継続することで、10年後もラミネートベニアの美しさを維持できます。この点は歯科用プラスチックとの大きな違いです。レジンは経年劣化が起こりやすいため、早ければ1~2年で黄ばみや黒ずみ、摩耗などが目立つようになります。ホワイトニングは、色の後戻りが避けられないです。
◎治療期間が短く、通院回数も少ない
ラミネートベニアは、最短2回で審美治療を完結することが可能です。仮歯を着けているのは1~2週間程度です。また、ラミネートベニアは歯を大きく削らない治療法であることから、1回の診療にかかる時間も比較的短くなっています。お仕事が忙しくて長期的な通院は難しいという方でも気軽に治療を受けられます。
【ラミネートベニアのデメリット】
◎適応できない症例・ケースもある
ラミネートベニアは極めて優れた審美歯科治療ですが、決して万能ではありません。すべての症例・ケースに適応できるわけではないため、その点はご注意ください。歯の状態によっては、標準的なセラミック治療の方が向いている場合もあります。
◎歯並びを大きく変えることはできない
ラミネートベニアは、歯並びを改善する効果も期待できる治療法です。前段で述べたように、前歯のすきっ歯の治療で広く活用されているものの、症状の強い出っ歯や乱ぐい歯を改善することは難しいといえます。歯並びを大きく変えたい場合は、やはりマルチブラケット装置やマウスピース型矯正装置を用いた歯列矯正がおすすめです。
◎装置が取れる・割れるリスクがある
ラミネートベニアで装着するシェルは、強い衝撃が加わることで取れたり、割れたりすることがあります。歯面とは強力な接着されてはいるのですが、スポーツや事故で顔面を強打した際には破損する恐れがあります。
◎材料の劣化がまったく起こらないわけではない
セラミック製のラミネートベニアは、経年的な劣化が起こりにくい材料ですが、変色や摩耗が少しずつ進行していきます。その点は一般的なセラミック治療と大差はありません。
ラミネートベニアの治療の流れ
ラミネートベニアによる治療は、次のような流れで進行します。
STEP1 カウンセリング・初診相談
ラミネートベニアによる治療において、カウンセリングは極めて重要な意味を持ちます。ラミネートベニアに関する疑問や不安は、カウンセリングの段階でしっかり解消しておきましょう。治療にかかる期間や費用も、カウンセリング・初診相談で確認しておくことが大切です。
STEP2 検査・診断
患者さまの歯や歯並び、歯茎の状態などを調べた上で診断を下します。患者さまのお口の状態によってはラミネートベニアをおすすめできないこともありますので、その点はご了承ください。とくに問題がなければ実際の治療に進みます。
STEP3 歯の表面を削る
ラミネートベニアでは、セラミック製のシェルを被せるためにエナメル質を一層、削ります。歯の表側だけ0.3~0.5mmくらい削ってシェルを貼り付けるためのスペースを確保します。エナメル質には歯の神経が分布していないので、切削処置に痛みを伴うことはありません。麻酔注射を打つ必要もないことから、快適に治療を受けられます。
STEP4 歯型を採る
歯の形成が完了したら歯型を採ります。専門的には「印象採得(いんしょうさいとく)」と呼ばれるプロセスです。その歯型を元に模型を作ってセラミック製のシェルを製作します。
STEP5 仮歯の装着
模型やシェルの製作はラボサイドで行います。診療室では仮歯を作って装着します。セラミックシェルが完成するまでの1~2週間は仮歯の状態で生活を送っていただきます。
STEP6 セラミックシェルの装着
セラミックシェルが完成したらご来院いただきます。天然歯に装置を装着して治療は完了です。
STEP7 メンテナンス
ラミネートベニアの治療が完了した後も、定期的にご来院いただくことで、装置の寿命を延ばしやすくなります。3~6ヵ月に1回くらいの頻度でメンテナンスを受けていただければ、装置のトラブルも発見しやすくなるでしょう。
ラミネートベニアはこんな人におすすめです(改善できる症例)
ラミネートベニアは、次に挙げるような症状の人におすすめできます。
・前歯の真ん中に不自然なすき間がある(すきっ歯・正中離開)
・ホワイトニングで改善できない歯の着色、変色がある
・初期の虫歯や形成不全によるホワイトスポット(歯面の白濁)がある
・歯の一部が欠けている
・歯が摩耗している
・歯の形や大きさに異常が見られる
・歯の先端のギザギザを改善したり
・歯の表面のザラザラが気になる
◎セラミッククラウンとラミネートベニアで迷っている人へ
上記の症状は、セラミッククラウン(被せ物)を用いた治療でも改善可能です。しかもセラミッククラウンはラミネートベニアよりも適応範囲が広く、ほぼすべての歯に使えます。ただ、ラミネートベニアと比較すると、歯を削る量がどうしても多くなってしまいます。ですから、歯の色や形、大きさの異常が比較的軽度で、それが前歯に見られる場合は、ラミネートベニアを選んだ方が良いと言えます。
とはいえ、どちらが適した治療法であるかは精密検査を行ってみなければわかりませんので、セラミッククラウンとラミネートベニアで迷われている方は、いつでもお気軽に御徒町の東京セラミック審美歯科クリニックまでご相談ください。当院はラミネートベニアやセラミッククラウンの治療実績豊富な歯医者さんですので、最善といえる施術法をご提案できます。
まとめ
このように、セラミック製のチップを歯面に貼り付けるラミネートベニアなら、歯の形や大きさ、歯並びの乱れを簡便に治すことが可能です。歯を大きく削らない治療法を希望されている方には、強く推奨できます。仮歯の期間が短く、通院回数も少ない。治療後のケアをしっかり行えば長持ちさせることも難しくないラミネートベニアは、極めて優れたセラミック治療といえます。