はじめに

白いセラミック?それとも銀歯?両者の違い

セラミックは芸能人などがしている治療のイメージですが、一般の方にも多く広まっている治療です。しかし、ネットでセラミックについて検索すると「絶対ダメ」と出てくるなど、セラミック治療の不安点などは多いのではないでしょうか。
そこで、この記事ではセラミックが絶対ダメと言われる理由と、セラミック治療の30年後はどうなっているのかを解説いたします。




セラミック治療とは

女性・疑問

セラミック治療とは、歯の美しさや機能を取り戻すための歯の治療法です。虫歯や歯の欠損、変色などの問題が起こった場合に、セラミック治療が銀歯やその他の治療法に並び選択肢の一つとなります。
また、歯の治療だけではなく、歯並びを変えたい・歯を白くしたい・歯の形を変えたいなど、治療の方法としては、歯を削って調整し、患者さんそれぞれの歯に合ったセラミックを作成し、作成したセラミックを削った歯に取り付けます。そうすることで、元の歯に近い歯を手に入れることができます。

セラミックとは

女性笑顔

セラミックは、非金属の硬い素材で、陶磁器や磁器のような性質を持つ人工素材です。セラミックは高温で焼かれたり、圧縮されたりして作られ、非常に耐久性があります。歯科だけではなく工業、美容製品など多くの分野で使用されています。

銀歯との違い

セラミック矯正

歯科医院によっては虫歯や歯の欠損への治療を銀歯で行っています。(当院では銀歯の取り扱いはございません。)銀歯での治療とセラミックでの治療の違いは、大きなものとして「見た目」があげられます。銀歯が口の中で目立つのに対し、セラミックのクラウンは他の歯に馴染む見た目をしています。

銀歯のリスク

セラミックと銀歯

しかし、銀歯のリスクは見た目だけではありません。銀歯の治療をすることで、その下にある歯の虫歯の再発可能性が上がってしまいます。また、銀歯は金属ですので、口腔内に金属が常にあることによって金属アレルギーになってしまう可能性があります。

金属アレルギーとは(後天的になるのか)

結局どっちがおすすめ?セラミックに交換すべき人・ケース・症例とは?

金属アレルギーとは、金属に対する過敏反応を指します。これは、身体の免疫系が通常無害な物質(金属)を異物とみなし、過剰な反応を起こす状態です。一般的な金属アレルギーの原因は、金属アレルゲンと呼ばれる特定の金属に対する過敏反応となります。
金属アレルギーは通常、後天的に発症することが多いです。これは、何度も金属と接触して免疫系が反応を学び、アレルギーが発展するためです。特に皮膚との接触が多い場所で金属アレルギーが発症しやすくなります。口腔内に金属が常にある状態がどれだけ金属アレルギーリスクが高いかがお分かりいただけると思います。金属アレルギーを避けるためには、アレルギーを引き起こす金属との接触を避けることが重要です。

セラミック治療のメリット

セラミックと銀歯

1 見た目

セラミック治療が他の治療よりも見た目で優れているという点は一目瞭然ではないでしょうか。セラミックは天然歯に非常に近い見た目を持っており、その半透明で白い質感が自然な笑顔に見せます。セラミックの色調や形状は患者さん一人一人に合わせてカスタマイズができます。このため、セラミック治療は虫歯や歯の欠損のある患者さんだけではなく、セラミック矯正など美しさを向上させるための治療として非常に人気があります。

2 適合性

セラミックは体への適合性が高い素材です。金属アレルギーの心配がなく、多くの人に適しています。また、セラミックの被せ物や詰め物は高精度で患者さん一人一人の口腔内に適した形に作成されるため、セラミック治療を行う前後左右の歯にも負担をかけずに治療をすることができます。適合性が高い方が、虫歯の再発リスクや歯周病のリスクも低くなります。セラミックは歯肉との親和性も高く、炎症や違和感を最小限に抑えます。

3 耐久性

セラミックは耐久性が高い詰め物・被せ物としても有名です。硬さと耐摩耗性が高いため、食事や歯ぎしりなどの噛み合わせの力に対して耐えることができ、耐久年数が長期間になります。これにより、セラミック治療はその時の「歯が痛い」「しみる」などのお悩みだけではなく、健康や見た目にも影響を与えます。また、セラミックは変色がしにくいことでも有名です。コーヒーやお茶、たばこなどから起こる歯の着色に対しても元の歯の色を維持します。

では、なぜ絶対ダメと言われる?
それは、セラミック治療には、上記のようなメリットだけではなく、治療におけるリスクやデメリットも存在するためです。

セラミック治療のデメリット

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セラミックをかぶせるために歯を削る必要がある


セラミック治療のデメリットの一つは、通常、もともと生えている患者さんご自身の歯を削る必要があることです。一度抜いてしまった歯が生えてこないように、一度削ってしまった歯が元に戻る事はありません。そのため、一度削ってしまうと戻せないというデメリットがあります。そのため、歯科医院や歯科医師選びをしっかりと行わないと、削る必要のない部分まで削られてしまったり、神経への影響が起こってしまったりなどの可能性があります。

セラミックが割れる可能性がある


セラミック治療のデメリットの一つに、セラミックが割れる可能性があることがあります。セラミックは硬い素材であり、通常の噛み合わせや咀嚼圧に対しては非常に耐久性がありますが、かなり強い圧をかけることで割れてしまう可能性もあります。例えば、通常かみ砕けないような固いものをかみ砕こうと歯に圧をかけたり、寝ている間のひどい歯ぎしりを長年続けたり、事故やケガなどで一時的に歯にかなり大きな圧がかかったり、セラミックのケアを適切に行わなかったりしたときに、セラミックが割れてしまう可能性があります。

セラミックが割れた場合、再治療が必要となり、それに伴う費用や不便が発生する可能性があり、それもデメリットとされます。割れるリスクを最小限にするためには、歯ぎしりなどの日常的にかかる圧を改善する必要があります。

自由診療のためお金がかかる


セラミック治療は一般的に自由診療であり、これがデメリットとも捉えられます。セラミック治療では、公的な医療保険が適用されず、患者さんが全額自己負担する必要があります。

セラミックの耐年数を伸ばすにはメンテナンスが不可欠


セラミックは半永久的な持続を保証する治療ではありません。セルフケアを欠かすことで、セラミックの土台となっている患者さんご自身の歯が虫歯になってしまうと、セラミック自体も使えなくなってしまいます。

では、30年後にはどうなる?

結論から言うと、セラミック治療後の30年後の歯がどうなっているかは人によります。セルフケアや定期的なメンテナンスの有無や質にもよります。

セラミックの耐久年数(他の治療の耐久年数)

セラミックと銀歯

セラミック治療の耐久年数はオールセラミッククラウンでは平均して10~15年といわれています。また、きちんとメンテナンスやセルフケアを行っていれば一生持つともいわれていいます。※オールセラミッククラウンは当院が一番おすすめしている、セラミックのみで構成されている被せ物です。

その他の被せ物の耐久年数

結局どっちがおすすめ?セラミックに交換すべき人・ケース・症例とは?

銀歯:3~5年(当院では取り扱っておりません。) メタルボンドクラウン:8年程度(当院では取り扱っておりません。) ジルコニアクラウン:10~15年

他の治療よりも耐年数が長い理由

セラミックと銀歯

セラミック治療が他の治療よりも耐久性が高い主な理由はいくつか存在します。まず、材料としての耐久性です。セラミック自体が非常に硬く、日常的な咀嚼や噛み合わせに対して耐久性があります。また、セラミックは色移りがしにくいという特長があります。そのため、コーヒーやお茶、たばこなどの着色のしやすい飲食物に対しても、自然な歯の色を持続させることができます。次に、セラミックは金属ではないため酸やアルカリに対しても化学的に反応することがなく、腐食や変色の心配がありません。その他にも、セラミックは汚れのつきにくい素材であるため、比較的虫歯の再発リスクなどが少なくなります。 また、このようなセラミックの材料に依る理由だけではなく、セラミック治療が患者さん一人一人に合わせた形にカスタマイズされて形成されるため、左右の歯や口腔にフィットするという点もあります。

長持ちさせるために必要なメンテナンスとは

結局どっちがおすすめ?セラミックに交換すべき人・ケース・症例とは?

では、どうしたらセラミックを長持ちさせることができるのでしょうか。それは、定期的なメンテナンスとセルフケアにあります。メンテナンスに関しては歯科医院での定期的なクリーニングや検診が必要になります。セルフケアはセラミックを被せている歯が虫歯にならないように、しっかりと口腔内の清潔を維持することが重要になります。メンテナンスとセルフケアを行うことで、30年後も美しい歯を維持することができる可能性があります。また、その他にも日常的な歯ぎしりの改善を行うことで、セラミックの歯にかかる負担が少なくなり、セラミックを使用し続けられる年数は長くなります。

おわりに

セラミックと銀歯

セラミックは、見た目・適合性・耐久性に優れている治療方法のため、多くの場面でおすすめされますし、耳にする治療方法です。しかし、それと同時に割れてしまう・費用がかかる・歯を削る必要があるなどのデメリットやリスクも存在しているため、「絶対にダメ」といわれてしまうこともあります。セラミック治療は、半永久的な治療ではなく、平均的な耐久年数は10~15年と言われています。しかし、きちんとメンテナンスとセルフケアを継続することで30年やそれ以上持つ可能性もありますので、歯科医師と相談の上で、ご自身にあった治療方法を選択し、ケアと継続していくことが大事になります。