目次
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– ラミネートベニアの失敗例
– 隣の歯と色調が合わない
– 噛み合わせの異常による咬耗・摩耗
– 支台歯がむし歯になった -
– 噛み合わせに異常がある
– 歯ぎしりの習慣がある
– 施術後にホワイトニングを予定している人
– 口腔衛生状態が悪い人 -
– 知識・経験が豊富な歯科医師に治療を任せる
– 審美治療を受ける順番に注意する
– 口腔ケアをしっかり行う
ラミネートベニアで失敗しないために知っておくべきリスクや対策法を解説
ラミネートベニアは、歯の色調・形・大きさなどを短期間で改善できる審美治療です。歯を削る量も極めて少ないため、すぐにでも施術を受けたいという人もたくさんいらっしゃいます。ただ、ラミネートベニアに関する知識が不十分だと、治療後に後悔あるいは失敗することもあるため注意が必要です。ここではそんなラミネートベニアで失敗しないために知っておくべきリスクやトラブル、それらの防止する方法をわかりやすく解説します。
ラミネートベニアの失敗例
ラミネートベニアによる審美治療では、以下に挙げるような失敗があり得ます。
ラミネートベニアが割れた
ラミネートベニアの失敗でまず想定されるのが、チップが割れる、欠ける、外れるといったトラブルです。ラミネートベニアは、専用の接着剤でしっかりと歯に固定されますが、セラミックの性質上、強圧には弱い傾向にあります。ラミネートベニアが割れた場合は、再治療が必要となります。
隣の歯と色調が合わない
ラミネートベニアでは、色の微調整が可能なセラミックを使用します。セラミックチップの色調を決めるシェードテイキングを適切に行うことで、隣の歯や嚙み合う歯と調和させることが可能です。ただ、ラミネートベニア後にホワイトニングを受けたり、天然歯の着色や変色が亢進したりすると、色の不調和が生じます。結果としてラミネートベニアを装着した歯だけが目立つようになります。
噛み合わせの異常による咬耗・摩耗
ラミネートベニアが適応されるのは、主に前歯部です。前歯は“切歯(せっし)”という名前が付けられるように、食べ物を噛み切るのに用いられる歯であり、奥歯のように強い力はかかりません。けれども、前歯の嚙み合わせに異常があると、そしゃく運動をした際に過剰な接触を起こすことがあります。
その接触部位にラミネートベニアが位置していると、咬耗(こうもう)や摩耗(まもう)といった現象が起こり、嚙み合っている天然歯が徐々にすり減って言います。ラミネートベニアのチップが破損することもあります。こうした失敗は、歯科医師の診断ミスや患者さまの悪習癖など、いくつかの原因に由来します。
支台歯がむし歯になった
ラミネートベニアを被せた支台歯(しだいし)がむし歯になると、治療は失敗に終わります。ラミネートベニアのチップは、健全な状態の歯に適合するよう設計されているので、むし歯で歯質に欠損が生じると、容易に外れてしまいます。
ラミネートベニアで失敗するリスクが高い人
次に挙げるような症状、習慣が認められる人は、ラミネートベニア治療で失敗するリスクが高いといえます。
噛み合わせに異常がある
前歯の嚙み合わせの異常である「切端咬合(せったんこうごう)」がある人は、ラミネートベニアで失敗しやすいです。私たちの前歯は本来、上の前歯が少し前方に位置し、下の前歯とすれ違うような形で噛み合います。切端咬合では、上下がほぼ同じ位置にあるため、歯の先である切端で噛み合うこととなります。その結果、ラミネートベニアに強い力が加わり、セラミック製のチップが割れる、欠けるなどのトラブルを引き起こします。
歯ぎしりの習慣がある
歯ぎしり・食いしばりは、セラミックを用いた治療において、最も注意すべき悪習癖です。どんなに優れたラミネートベニアを装着しても、歯ぎしりや食いしばりの習慣があると、セラミック製のチップは長持ちしません。チップが強い圧力に耐えられず、割れたり欠けたりして治療が失敗に終わります。
施術後にホワイトニングを予定している人
ラミネートベニアを始めとしたセラミック治療は、ホワイトニングと併用することが可能です。ただし、治療の順番を間違えると、審美障害が生じます。というのも、ホワイトニングは色調を細かく調整することができない審美治療なので、施術の順番としては必ず先に行わなければならないからです。そのため、ラミネートベニアを装着後にホワイトニングを受けると、色の不調和が生じ、かえって見た目が悪くなることもあり得ます。
口腔衛生状態が悪い人
適切な口腔ケアを行えない人は、ラミネートベニア治療で失敗しやすいです。上述したように、ラミネートベニアを装着した歯がむし歯になると、チップが外れてしまうからです。また、ラミネートベニアでも少なからず歯質は削ることから、むし歯になってしまうとその進行も早くなる点にご注意ください。
ラミネートベニアで失敗しないための対策法
知識・経験が豊富な歯科医師に治療を任せる
ラミネートベニアに関する知識や診療実績が豊富な歯科医師であれば、噛み合わせの異常や歯ぎしりなどの悪習癖を検査によって見つけることができます。正確に診断できれば、ラミネートベニアが向いている人、向いていない人をしっかり見極められることから、治療が失敗するリスクも限りなくゼロに近付けられます。
審美治療を受ける順番に注意する
ラミネートベニアを検討中の方は、その他の審美治療にも関心があることかと思います。とくに手軽に受けられるホワイトニングは、ラミネートベニアと併用するケースも珍しくありません。そうした審美治療を複数受ける場合は、ひとつの審美歯科で完結させた方が失敗することも少なくなります。カウンセリングの段階で、ラミネートベニアとホワイトニングの併用をご相談ください。審美歯科では患者さまのご要望に合わせて、最適といえる治療の順番等をご提案することができます。
口腔ケアをしっかり行う
治療前はもちろん、治療後も口腔ケアを徹底しましょう。口腔衛生状態が不良となると、むし歯や歯周病のリスクが高まり、ラミネートベニアの異常にもつながります。
ラミネートベニアの寿命
ラミネートベニアの治療で失敗や後悔する主な原因は、装置の脱離や破損です。つまり、ラミネートベニアの寿命が極端に短くなることで、治療自体が失敗に終わるのです。そこで気になるのがラミネートベニアの平均的な寿命ですよね。
ラミネートベニアは、適切な方法で装着し、治療後も正しいケアを継続していれば、10年以上持たせるのも難しくありません。ラミネートベニアの寿命が20年以上続いているケースもあります。ですから、ラミネートベニアの寿命を延ばすも縮めるも、歯科医師の技術や患者さまのケア状況にかかっているといっても過言ではないのです。
ラミネートベニアの適応範囲は?
ここまで、ラミネートベニアで失敗や後悔しやすいケースについて解説してきましたが、そもそもどのような症例に適した治療なのかも知りたいですよね。
◎ホワイトニングで着色が改善されなかったケース
歯の着色や変色を改善したいという方は、まずクリーニングやホワイトニングを試してみましょう。いずれも歯に与えるダメージは皆無に等しいので、大きなリスクを背負うことはありません。歯の着色がクリーニングやホワイトニングで改善されなかった場合は、歯を削る量が比較的少ないラミネートベニアがおすすめです。
◎歯の形や大きさに異常があるケース
歯の形や大きさは、歯列矯正で改善することはできませんが、ラミネートベニアなら簡便に整えることが可能です。治療期間も短く、歯の色も同時に改善できます。
◎前歯部にすき間があるケース
いわゆる“すきっ歯”の症状だけ改善したい場合は、矯正ではなくラミネートベニアの方がおすすめです。比較的軽度のすきっ歯であれば、歯を削る量も少なく、短期間で改善できます。
まとめ
このように、ラミネートベニアはとてもシンプルな審美治療ですが、診断を誤ったり、手順を間違えたりすると失敗することがあります。治療後の悪習慣もラミネートベニアの破折や脱離につながるため、十分注意しましょう。
ラミネートベニアを用いた審美治療を検討中の方は、そうした失敗のリスクやデメリット、それらを防止するための対策なども事前に把握しておくことが大切です。ちなみに当院は、ラミネートベニアを始めとした審美歯科治療を専門に行っておりますので、さまざまな角度からアドバイスすることができます。審美治療に関心のある方はお気軽にご相談ください。